先日公開されました『世界で一番悲しい笑顔』のあとがきを記していきたいと思います。
以下、ネタバレありの無駄に長いあとがきです。
この度は『世界で一番悲しい笑顔』をプレイしていただき、ありがとうございます。
この作品は音楽担当tai_が2015年に作詩、作曲した同名の楽曲の世界感を元にした物語です。
元々『朱色に染まる、美しき社で(仮称)』という物語を2012年3月から執筆していたのですが、当時は私自身の能力不足で執筆がなかなか進まない状態でした。
ですので、とりあえず短編を製作し、ノベルゲーム制作の工程を把握する事、また、ユーザーの皆様に気軽にプレイしていただこうと思い、執筆を始めたのが本作です。
気軽にプレイしてもらうために、本作のテキスト量はライトノベル1冊分に相当する200kb前後、プレイ時間にして3時間前後にしようと執筆開始当初から考えていました。
ノベルゲームというメディアの性質上、視覚的、聴覚的情報が小説に比べ格段に多いので、本作では
風景描写は極力少なくし、主人公・雅玖の心情描写を中心に執筆しました。
以下、各章の解説になります。
第1章 欺瞞
この章では主人公・雅玖の無意味な日常をメインに描きました。
1章では、パチンコ依存症である私の友人の体験談を参考にしたパチンコ描写が続きます。
ですので、プレイされた方に不快な思いをさせてしまったかも知れません。
私自身の考えは、パチンコ=悪です。
人の人格までも変え、人生を狂わせてしまう……この世に存在してはならない物だと考えています。
そんなものがある場所に、誰でも気軽に入ることが出来てしまう……。
本当に恐ろしい世界です。
物語開始当初の雅玖はどうしようもないクズのような人間ですが、これはパチンコにより性格がねじ曲げられてしまったためです。
私自身も、一時期パチンコにはまっていた時があり、その頃は酷く醜い状態でした。
この作品をプレイされた方の中にも、パチンコをやっている方はいるかもしれません。
そんな方が、この作品を機にもう一度「生きる意味」を考えていただければ幸いです。
アイキャッチに使われている花は鬼灯……その花言葉は『欺瞞』です。
第2章 転機
この章では美羽と出会い、変わり始めた雅玖の日常を描きました。
作中で雅玖は、アルバイトからでもいいので、自分にあった仕事を探す事になりますが、これは私自身と重なる部分があります。
私も新卒で入社した会社を半年で退職し、どうしてもやりたかった仕事をアルバイトから働き始めました。
その仕事は私の趣味に直結し、人生をかけるに値する物でした。
その後、活躍が認められ、今では正社員として働くことが出来ています。
ですので、この作品をプレイされている方にも「やりたい仕事」をする喜びを知ってもらいたい。
そして、人生をより豊にする趣味を持ってもらいたい。
この章はそんな思いも込めて執筆しました。
アイキャッチに使われている花はピンクのチューリップ……その花言葉は『愛の芽生え』です。
第3章 美羽
この章では美羽の真実を知った雅玖が、彼の生きる意味を見つけるまでを描きました。
この作品で最も描きたかったのが、この章のラストシーンです。
そのため、イベントCGもこのシーンで初めて使用されます。
美羽を失った世界で、雅玖は何のために生きるのか。
副題となっている、The reason of my life is...の回答が描かれます。
このシーンはプロットを書き出す前……本当にこの物語を執筆しようと思った段階から、頭の中に浮かんでいました。
BGMも相まって、この作品の全てが集約されているシーンになったと思います。
ちなみに美羽が犯されている病気「特異性未破裂脳静脈瘤」は架空の病気です。
アイキャッチに使われている花はノジギク……その花言葉は『真実』です。
第4章 笑顔
この章では結ばれた雅玖と美羽の、最後の時までを描きました。
この作品のタイトルでもある、美羽の『世界で一番悲しい笑顔』のイベントCGは、切なくも美しいものとなり、非常に気に入っています。
三奈宮みあ様、素晴らしいイラストをありがとうございました。
ラストシーンで、再び倒れた美羽の目覚めを待つ雅玖は、幻を創り出します。
それは、彼が見たかった……理想の未来。
それが決して訪れないことを理解した時、あまりにも不条理で、どうしようもなく生き辛い世界に戻される。
このシーンも、第3章のラストと並んで気に入っているシーンです。
ED曲は、この作品の元となった『世界で一番悲しい笑顔』を当時のまま原曲で使用しています。
改めて聞き直し、その世界観をうまく表現できたと思いました。
アイキャッチに使われている花は向日葵……その花言葉は『あなただけを見つめる』です。
作品全体のテーマは「生きる意味」という単純ですが難しいものとなっています。
その答えは一人一人異なると思いますが、私なりに雅玖の生きる意味を描いてみました。
この作品をプレイされた方に、今一度「生きる意味」を考えていただければ幸いです。
…と、堅苦しいのはここまでにして、ここからは制作での思い出を記していきたいと思います(何
制作上で一番印象に残っているのはイラストが届いたとき!
自分で作品のイメージにあいそうな絵師様を探し、その方に自分が考えたキャラクターをイラストにしてもらうというのは、想像以上に嬉しいものでした。
この感覚は、実際に体験してみないとわからないと思います。
初めて持田美羽のラフ画をメールでいただいた時、緊張して中身見られませんでしたからねw
ラフ画届く ↓ 緊張して見られない ↓ とりあえず落ち着こうと、サンシャイン池崎のネタを見る ↓ 1分間タイタニックに爆笑 ↓ 久しぶりにタイタニック見たくなる ↓ 3時間ぶっ続けで視聴 ↓ 号 泣 ↓ 少し落ち着く ↓ ファイル解凍 ↓ かわえええええええ
これが一番の思い出です(えっ
私の細かい要望にもしっかりと答えてくださった三奈宮みあ様、本当にありがとうございました!
さて、次回作ですが、冒頭でも書きましたが『朱色に染まる、美しき社で(仮称)』という作品になります。
こちらは40%ほどシナリオが書き終わり、テキスト量ではセカイチの倍(400kb)ほど執筆してあります。
最終的には900kb……プレイ時間で12時間くらいになる予定ですが、今後変更する可能性もあります。
最近、いろいろなフリーノベルゲームをプレイし、長ければいいという訳ではないと思いまして……。
できれば8時間以内に収めたいと思います。
この作品は、ひたすら暗かったセカイチとは異なり、ギャグ要素がやや強めになっています。
それでも、最後は→Quantize_らしく、儚くも切ない物語になる予定です。
制作状況はこちらのブログで月1で記していきたいと思います。
最後に、この作品をプレイしていただいた皆様、本当にありがとうございました!
今年はイベントなんかにも参加したいと思いますので、何処かでお会いできればと思っています。
それでは、また。